ハノイのタイ湖に佇む最古の寺「鎮国寺(チャンクオック寺)」
ハノイ市最大の湖であるタイ湖に浮かぶ小島に建つ「鎮国寺(チャンクオック寺)」は、ベトナム最古とも言われる由緒正しき寺院。その本堂には、見応えのあるたくさんの神仏が祀られています。また、その風情たっぷりの佇まいをしてるため、観光スポットとしても人気。ここでは、その魅力をご案内します。
ホアンキエム湖からタクシーで20分。タイ湖観光の中心地。
「鎮国寺」は、ハノイ最大面積のタイ湖の東側タインニエン通り沿いの小島にある寺院。ベトナム最古ともいわれています。この寺院にはさまざまな神さまや聖人が祀られているとともに、その風情あるたたずまいも魅力的な観光スポットとなっています。
この「鎮国寺」がある島は、もともと王族の避暑地として使われていた由緒ある場所だったとか。かつては、「翠華宮」という離宮がここにあったのだそうです。
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湖に浮かぶ、風情たっぷりな由緒ある寺院「鎮国寺」
この寺院のはじまりは、6世紀の李南帝(リー・ナムデー)の時代、ホン川(紅河)のほとりに建てられた「開国寺」。その後、黎太宗(レー・タイトン)の時代に「安国寺」と改名され、1616年、ホン川の土手が崩れたために、村人たちの手によって現在の場所に移動しました。
1620年ごろに堤防を築くとき、寺院のある小島に渡る道もつくられたのですが、このときに作られた堤防が今のタインニエン通りに。そして1639年、当時の権力者だった鄭(チン)氏によって、寺院を増築。門や回廊などが取り付けられ、現在、私たちがみることができる姿となりました。
そして、後レー朝の第11代皇帝である黎煕宗(レー・ヒートン)の時代に、現在の名称である「鎮国寺」と呼ばれるように。この時代になると、中国から仏教の宗派・曹洞宗がこの地に伝わり、この寺院はその拠点のひとつとなったのだそうです。
建築好きにも必見!特徴的な「内エ外口」様式の寺院
この「鎮国寺」の正面の門をくぐって、まっすぐ歩いていくと、本堂の前に広がっている庭にたどり着きます。
本堂の前の庭の左右にある石碑には、この寺の修復の歴史や、仏教の開祖・釈迦の生涯が刻まれています。また、この庭の大きな菩提樹は、1959年、インドの大統領だったラージェーンドラ・プラサードによって植樹されたものとなります。
この寺院の造りは、16世紀に始まった「内エ外口」様式と呼ばれるもの。上空から眺めると、「エ」字形の本堂を「口」字形の回廊や客殿、僧房が囲むように配置されているのが特徴的です。
中央にある池のなかに作られている山は、「仮山(ヌイノンボ)」と呼ばれているもの。これは、仏教の世界で世界の中心と考えられている「須弥山」を表現したもので、悪い運気が直接堂内に入ってこないようにしています。
本堂の裏手にある庭にはたくさんの塔が建っていますが、これらは歴代の住職の墓塔です。
あまたの神仏が祀られた見応えばつぐんの本堂
そして、この「鎮国寺」の本堂には、さまざまな神仏が祀られています。
本堂の奥の1段目である最上部には、三世仏の「阿弥陀如来(過去仏)」、「釈迦如来(現在仏)」、「弥勒菩薩(未来仏)」。この3つの仏がすべての時をこえて、世界中の人びとを救ってくれるとされています。
2段目には、釈迦十大弟子のメンバーである「阿難陀」と「迦葉摩騰」を脇侍とした、「釈迦三尊像」が。3段目には、「観世音菩薩」と「大勢至菩薩」を従えた「阿弥陀三尊像」が祀られています。
4段目の中央には、10世紀の中国に実在したといわれるお坊さん「布袋」の像。大きなお腹と袋を持っていて、いつも笑顔でさまざまなミラクルを起こしていた人物なのだそう。「弥勒菩薩」の化身とされているのだとか。「普賢菩薩」と「文殊菩薩」を従えて祀られています。
このほかにも、数多くの神仏が祀られていて、とても見応えのある本堂です。
タイ湖観光では必ず行きたい観光スポット「鎮国寺」
タイ湖の小島に佇む、由緒正しき寺院「鎮国寺」。その風情ただよう美しさも魅力のひとつです。
1842年、第3代紹冶(ティェウチ)帝は、地方都市のひとつにすぎなかったハノイの寺院に「国」の文字を使うことを禁止したそう。そして、「鎮北寺」と名前を変えたのですが、それでも、この地に暮らす人びとはこの寺院を「鎮国寺」と呼び続けていたとのこと。
そんなエピソードからも、ハノイの人びとにとってこの寺院が特別な場所であることがわかります。ぜひ足を運んでみてください。拝観は毎日行われています。
観光情報
鎮国寺(チャンクオック寺 Chua Tran Quoc
住所:32 Thanh Nien St. Dist.Tay Ho. Ha Noi
営業時間:7:30~11:30、13:30~18:30
アクセス:ホアンキエム湖からタクシーで20分