死神市場と呼ばれるホーチミンの「キムビエン市場」
世界中に存在する中華街。ベトナムでも17世紀ごろより華人が増え、北部、中部、南部と各地域にコミュニティが作られました。中部最大の中華街は、ランタンの街で知られるホイアン。そして、南部最大であり、ベトナム最大の中華街が、ホーチミン市の5区と6区に跨って広がるチョロンとなります。
このチョロンにある「キムビエン市場(Kim Bien)」は、華人の人々の生活を支える地元の市場です。しかし、その一方で「死神市場」とも呼ばれている一面も。今回はキムビエン市場について詳しくご案内いたします。
市民劇場からタクシーで20分。チョロンの中心
ホーチミン市内からタクシーで20分。ホーチミン市の中心街より西に約5km、ベトナム最大級の中華街チョロンにキムビエン市場(Kim Bien)は位置します。
チョロン最大の市場といえば、ビンタイ市場が有名ですが、キムビエン市場はビンタイ市場から徒歩10分程度。同じ通りにあります。
地図で確認
ベトナム最大の中華街にある「キムビエン市場」
キムビエン市場のあるチョロンは、ベトナム語で「大きな市場(Chợ Lớn)」の意味。名前の通り、チョロン地区には地区最大のビンタイ市場、衣料品を中心に扱うアンドン市場など、数々の市場が存在します。
そのひとつであるキムビエン市場は、地元の人のホームセンター的存在です。遠くからひと目見ても分かる三角屋根が特徴。場内は化学薬品や日用品、ちょっとした電化製品やジャンク品を扱うお店が多く、屋内から市場の外回りにかけて店舗がぎっしり並んでいます。
市場屋内では、天井まで高く商品が積まれた中で、店主たちが通りがかりのお客さんに声をかけているようすが日常。
外壁に沿うように場外市場も開かれており、こちらはキッチン雑貨やぬいぐるみなどの生活用品がメイン。バイクに乗ったまま買い物をするお客さんも。ここに来る地元の奥さんたちは、威勢のいい店主にも負けない勢いで値段交渉しています。活気あるベトナムの空気に浸れるはずです。
最大の魅力は、ローカルな雰囲気たっぷりでお買い物ができること
無造作に高く積み重ねられた商品、薄暗く歩くのがやっとな狭い通路、そこかしこで飛び交う中国語とベトナム語。まさに“アジアのローカル市場”な雰囲気たっぷりなところが、キムビエン市場の最大の魅力です。
取り扱われている商品はいずれも地元の人のためのものばかりなので、きれいなお土産品を求めるのには適していません。しかし、東京・浅草のアメ横を歩くようにB級な掘り出し物が見つかる可能性大。サングラス、化粧品、下着など、日本でも活躍しそうな小物もずらりと売られています。
観光客慣れしているメジャーな市場では流暢な英語を話せる店主も多いですが、キムビエン市場では容赦なく中国語もしくはベトナム語で話しかけてきます。掘り出し物を見つけたら、思いきって声をかけてお買い物してみましょう。
ただし、狭くて混雑している分、スリが多いので、財布を出し入れするときは要注意。通路が人ひとり通るのがやっとというくらい狭いので、キャリーケースや大きなボストンバッグを持っての観光はおすすめしません。場外の市場は、バイクに乗ったまま買い物をするお客さんたちが押し寄せるので気をつけて。
死神市場と呼ばれる所以は
一方、ホーチミンに暮らす人々にとっては、「死神市場」と揶揄されている側面もあります。ベトナムでは食品の品質をごまかすために、認められていない違法の薬品を使って商品をよく見せる業者が多発しています。
その悪質な業者が化学薬品を購入する場所が、このキムビエン市場となります。それが原因で、いつしかキムビエン市場は死神市場と呼ばれるようになりました。
旅行者にとっては本当におもしろい観光スポット!
ローカル色満点でにぎやかなキムビエン市場。日本の中華街のようなきらびやかな雰囲気はありませんが、ベトナムに住む華僑の日常に触れられる刺激的なスポットです。
さらに、この近辺には、ティエンハウ寺(天后宮)、チャータム教会、オンボン寺などの名所が徒歩圏内にあります。これらのチョロンの名所と併せてキムビエン市場を巡ってみるのもよいでしょう。
せっかくベトナムに来たなら観光地化されていないローカルなエリアに行きたい!という方はぜひ訪れてみてくださいね。
観光情報
キムビエン市場 Kim Bien Market
住所:Kim Bien Market Van Tuong St. Word13. Dist. 5. Ho Chi Minh
営業時間:6:00~18:00
アクセス:市民劇場(オペラハウス)からタクシーで20分