ホーチミンの人気観光地「クチトンネル」の楽しみ方とガイドが教えない3つの実話

ベトナム南部、ホーチミン市から車で約1時間半、旅行者に人気の観光スポット「クチトンネル」は、ベトナム戦争時代にベトコンが使っていた巨大地下トンネルを一般公開している場所です。
カラシニコフの試し撃ちができたり、実際に地下トンネルに入ることもできます。当時ベトコンが使っていたといわれる罠や武器の数々の説明もあり、エンターテイニング精神にあふれた場所です。
今回は初めてのホーチミン旅行者が知って得するクチトンネルの現地観光情報をご案内します。普通の旅行ツアーガイドが教えてくれない、隠されたクチトンネルの実話もお伝えいたします。
アクセス:ホーチミンから車で90分。タクシーはおすすめできない理由

クチトンネルはホーチミン市の隣にあるクチ県に位置しています。タクシーを使えばホーチミン市内中心からおよそ90分ほどの道のりとなります。しかし、タクシーで行くのは旅行者にはおすすめすることができません。
ホーチミンからタクシーを利用すると、往復料金だけで1万円近く行ってしまいます。また、タクシーをチャーターするにしても、現地でクチトンネルを観光している2時間前後、タクシーのドライバーには待っていてもらわなければなりませんが、気まぐれなドライバーに当たってしまったら逃げられてしまうこともよくあります。
ちなみにクチトンネル周辺は田園風景が広がる田舎町となりますので、流しのタクシーを拾うことなどはできません。
ホーチミンから行くクチトンネル観光。現地で英語は使える?

よく訊かれる質問で、「クチトンネルの現地では英語が必要か」とありますが、クチトンネルの観光中は英語はまったく必要ありません。クチトンネルに入場してまず最初に当時の映像を鑑賞することができますが、こちらは日本語吹き替えがあります。また、それ以外の現地の説明はツアーガイドがしてくれるので、参加者は英語を話す場面はありません。
クチトンネルはなぜツアー参加が必須で個人で行くことができないのか
クチトンネルはツアーガイドに同行されていく観光スポットのため、個人で行くことはできません。ちなみにベトナムにはこのような観光スポットが幾つかあり、ホーチミン発のメコンツアーも同様で、個人が自力で行っても中に入ることはできません。そのため、旅行関係のベトナム人が同行しているわけでもない限り、日本人旅行者はツアーに参加するのがおすすめとなります。
午前にクチトンネル夜にメコン。大人気2大スポット現地ツアー
午前中にクチトンネル観光を終えたあとは、メコンデルタに向かい通常のメコンツアーを体験。夜はメコン川の川岸でホタル観賞をする大ボリュームの現地ツアーです。
気軽に参加!半日で行くクチトンネルツアー
半日で楽しめる現地ツアー。午前中に観光を終えてお昼にホテル着。希望すれば午後にお洒落な町並みのタオディエン観光も参加できます。
クチトンネル観光情報!全長250kmにも及ぶ巨大地下トンネル

クチトンネルと言えばベトナム戦争時代にベトコンが使った地下トンネルとなりますが、実際トンネルが作られたのはフランス統治時代となります。全長250kmにも及び、カンボジアまで続いているとも言われていますが、実際のところは政府管轄のため定かではありません。
クチトンネル観光では、その僅か一部のみを見学して回ることができます。現地では森林の中を歩き回ることになり、随所にブービートラップや模型が設置されていて、それらを順番に見て回ります。
クチトンネルの中はどうなってるの?探索できるの?

クチトンネルの内部は現在ベトナム政府が管理しており、ツアー参加者は3つの地下トンネルに入ることができます。とはいってもトンネル内部に何があるというわけではなく、ほの暗いトンネルをしゃがみながらひたすら歩くだけなので、体力に自信がある人と腰が強い人は体験してみるといいでしょう!
ちなみにベトナム戦争当時は、クチトンネルの内部には「会議室」、「映画館」、「食堂」、「ダンスホール」、「図書室」があったとされています。
クチトンネル観光情報~ブービートラップや本物の戦車も展示!

こちらはクチトンネルの敷地に展示されている戦車。実は本物の戦車で、ベトナム戦争当時にアメリカ軍が持ち込みましたが、地雷を踏んで動けなくなったとのこと。戦車のてっぺんに上って写真撮影をすることもできますよ。

こちらはブービートラップ。針にはマムシの毒が塗られているため、軽傷であっても20分後には毒が回り致命傷に至ります。詳しい使い方の説明はツアーガイドがしっかりと説明してくれるので、聞きながら当時の様子をイメージしてみてください。
クチトンネルではアサルトライフルの試射が可能!ゴルゴ13のM16もある!

クチトンネルでブービートラップなどを一通り見学したあとは、カラシニコフの射撃体験をすることができます(別途有料)。M16やAK-47などを試射することができます。ライフルはしっかりと固定されているので、参加者は狙いを定めてトリガーを引くだけです。女性でも気軽に参加できますが、銃声がびっくりするくらい大きいので、射撃場に入るときはイアープロテクターを絶対にしてくださいね。
観光する前に読んで!退役軍人が語るクチトンネルの真実?をご紹介!
ところがこのクチトンネル、実は堂々と展示されている罠などが実際は使われていなかったり、逸話に脚色があったりします。元南ベトナム側の中尉としてクチトンネルのジャングルで戦った退役軍人がツアーガイドとして働いているのですが、そんな彼がその目で見たものは現在の展示とは違うものだそうです。一般的なガイドが教えないクチトンネルの実話をご紹介します。
ディスプレイされている罠の数々、実際には使われなかった!?

クチトンネルではジャングルの中にトンネルの穴があったり、当時の罠を再現したものが置いてあったりします。地面のある一点を踏むと、仕掛けてある罠が作動し竹槍が仕込まれた落とし穴に落ちるものや、ネズミ捕りの大きいバージョンのような罠、スパイク状になった鉄がついた木のフレームが兵士の顔に降ってくるものなど、様々な罠が展示されています。あたかもベトコンはこんなに賢く戦ったんだぞ、と自慢するかのようです。

ところが、その罠の多くは実際に使われていなかったどころか、当時は存在すらしていなかったのです。上述の退役軍人が実際に経験した罠は、ジャングルのなんでもないところに無造作に突き出された竹槍だったと言います。鉄でもなく、落とし穴でもないただの竹槍です。
罠でアメリカ兵や南ベトナム兵を殺すことを目的とはせず、傷つけ戦力を欠くことを目的としていた、といいます。大々的な罠を仕掛ける物資的余裕も時間的余裕もなかったベトコンが、こんなに大掛かりで精巧な罠を作ることは不可能だそうです。

ところが竹槍の罠は残忍で、一度刺されば傷が広がるのを恐れて抜くことはできないし、その痛みは尋常ではありません。傷ついた仲間を連れてジャングルを歩き回るのは他の兵士にとっても精神的にきついことなのです。
投降してきたベトコンは殺さない!

現在のベトナムでは、アメリカ兵や南ベトナム兵は民兵であるベトコンを無残に殺戮した、という考え方が一般的です。クチトンネルも例に漏れずそれを事実として展示しています。ところが、例の退役軍人が証言するには、同じベトナム人であるベトコンを、特に投降して来た者は絶対に殺さなかったそうです。「撃たないで!投降するから!生きたいんだ!」こんなことを言われて殺せるはずがない。
当時を振り返って話す姿は、まるで当時の光景を思い出し、当時と同じように苦しんでいるようでした。投降して来た者は殺さない、トンネルから出て来た者に残忍な仕打ちをできる南ベトナム兵はどこにもいなかったと言います。
トンネルの穴はすべてフェイク用の穴?偽物と本物の穴の実態

トンネルに入るためにはもちろん地上にある穴を使います。出入り口を特定されないように作られた穴は無数にあり、それぞれに役割があります。人が出入りする穴、換気用の穴、煙突、そしてフェイク用の穴です。換気用の穴は、どう辿っても絶対に居住空間には繋がらないような仕組みになっていたり、人が出入りする穴は葉っぱでカモフラージュしてある小さな溝にあったり、工夫は様々です。

さらに、例の退役軍人が語ったフェイク穴の存在はベトコンの賢さを物語っています。フェイクの穴は、これ見よがしに空に向けてその口を開け、いかにも人が出入りしそうな風に作られています。
ところが、これはアメリカ兵や南ベトナム兵をおびき出すためで、手榴弾などを使わせることが目的です。爆発音の下ところに敵がいるとわかるので、戦いやすくなる上に全く犠牲が出ません。現在ではそのフェイク穴がベトコンが出入りするのに使われていたと説明しているようですが、実際は違っていたことがわかります。
信じるか信じないかは貴方次第!クチトンネルに行って真実を考えてみては

なぜ、実際とは違う説明がされるようになったのでしょうか?それは、共産党政権下で作られたクチトンネルのツアーガイド用のガイドラインが一つの原因と言います。
観光客に教える項目は決められているので、それを伝えなければなりません。今回真実を教えてくれた退役軍人は他のツアーガイドに聞かれないように、道の端にずれて小さめの声で教えてくれました。それほど統制は厳しく、ベトコンを英雄のように扱いたいベトナム当局の意向が強く反映されています。
どれがどこまで真実かは分かりませんが、だからこそ、実際のその足でクチトンネルに行き、その目で確かめてみてはいかがでしょうか。