ベトナムの少数民族カトゥー族を知ろう!

ベトナムの主要民族はキン族と呼ばれ、人口の90%を占めています。ところが一方で、ベトナムは少数民族の数がとても多いことでも有名です。なんと53の少数民族が住んでいると言われています。

今回ご紹介するカトゥー族は、数ある少数民族のうちの一つで、中部の山岳地帯クァンナム省に住む民族です。採集を主な生業とし、民族特有の織物「カトゥー織り」が有名です。

このカトゥー族は近年大きく注目されるようになった民族で、ベトナム随一の観光地ホイアンでは年に1回「カトゥーナイト」と呼ばれるお祭りが開かれるほどです。元々は関係が悪かったキン族と少数民族、今ではお互いの努力により双方の理解を深める交流が盛んになっています。

目次

    カトゥー族ってどんな民族?観光ツアーで理解を深める

    カトゥー族の機織りシーン
    カトゥー族の機織りシーン

    カトゥー族はベトナムに数ある少数民族のうちの一つです。狩猟採集を主な生業として、半自給自足の生活を送っています。有名なのは、伝統的な織物「カトゥー織り」や伝統芸能の「カトゥーダンス」です。現在ではこれらの民族特有の文化を押し出して、観光事業を始めている村もあります。

    この観光事業は日本のNGO「FIDR」と協力して行なっており、一般の観光客も参加することできます。事前の予約が必要ですが、カトゥー民族の方々が直接自分たちの生活を案内してくれます。普通のベトナムの暮らしを体験するのにも大きなカルチャーショックがありますが、少数民族の暮らしはさらに驚きの連続です。知られざる生活風景を目の当たりにすることで、少数民族への理解が深まること間違いなし。

    観光でやってくる外国人観光客に聞くと、その満足度は揃って高くカトゥー族へのさらなる興味を抱いて帰って行く方が多いと言います。この観光ツアーのユニークな部分は、少数民族のカトゥー族自らが発案し運営していることです。小さな会社のような組織を自分たちで作り、技術的な部分ではFIDRの協力を借りながらツアーを作っています。

    このように少数民族が積極的に外界と関わろうとすることは、実はとても珍しいことなのです。少数民族は自分たちだけで隠れるように暮らしていることがほとんどだからです。では、どうして少数民族は隠れるように暮らさなければならないのでしょうか?

    ベトナム社会に根深く残る少数民族差別

    ツアーに参加すれば彼らと触れ合うことができる
    ツアーに参加すれば彼らと触れ合うことができる

    キン族が人口の90%を占めるベトナムでは、自由至上主義の元活発な経済活動が行われてきました。ところが、少数民族にはその文化は浸透せず、取り残されていってしまったのです。結果として「少数民族は野蛮」「教育を受けていない貧乏な人たち」というレッテルを貼られてしまいました。

    実際にカトゥー族の子供がキン族の子供と共に学校に通っていると、「野蛮だ」「汚い」などといじめられることが多くありました。子供達は少数民族であることに自信を持つことができず、キン族に認められようと自分たちの文化を否定するようになりました。

    このような形で伝統文化が失われた少数民族は多数あると言います。カトゥー族も文化消失の危機に直面した過去がありましたが、現代社会と少数民族の伝統との融合の可能性を模索し続けることでその苦難を乗り越えました。このような背景を持つカトゥー族は、自分たちで興した観光事業に意欲的に取り組み、キン族社会との融和を進めているのです。

    どうやったらカトゥー族に会える?

    こんな素敵なカトゥー族に会える機会は大きく2つあります。年に1回ホイアンで開かれるお祭り「カトゥーナイト」に参加する方法と、また前述のFIDRを通じてカトゥー族観光ツアーに参加する方法です。

    後者の方は1日のツアーなので、カトゥー族の実際の暮らしを等身大で見ることができます。また、村に招待してくれるため、多くのカトゥー族の人々に囲まれて文化を体感することできます。ツアーの申し込みはFIDRのホームページから可能です。ぜひチェックしてみてください。

    まとめ

    辛い時期を自分たちの力で乗り越えたカトゥー族は、自分たちの活動を他の民族とも共有しようという動きがあるといいます。有名な観光地巡りも楽しいですが、ベトナム社会の知られざる一面を覗きにいってみるのはいかがですか?