カンボジアの基本情報

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東南アジアに位置するカンボジア。毎年日本人旅行者数も増えてきて、2017年には20万人を突破する見込みとなっています。そのほとんどの旅行者は、北部シェムリアップにある世界遺産アンコールワットの見学が目的かと思います。現在では単なる観光名所ではなく、国の象徴として鎮座している歴史の産物。

一方、「シェムリアップ旅行を決まったけど、アンコールワット以外に何があるの?」、「カンボジアってそもそもどんな国」といった単純な疑問を持ったまま現地に降り立つ観光客も見かけます。

そこで、今回はカンボジアの概要となる基本情報をお届けしたいと思います。

目次

    カンボジアの基本概要

    カンボジアは正式には「カンボジア王国」。人口は約1500万人。東京の人口がおよそ1300万人なので、国としての規模は非常に小さいのが分かります。日本からは直行便もしくは経由便でそれぞれプノンペンおよびシェムリアップに行くことができ、所要時間はおよそ8時間。時差は2時間早く、日本で午後1時のとき、カンボジアは午前11時となります。

    首都はシェムリアップではなくプノンペン

    カンボジアといえば世界遺産のアンコールワットがあるシェムリアップが有名なので、ここが首都と勘違いされがちですが、カンボジアの首都はプノンペンとなります。

    シェムリアップはまだまだ小さな都市

    世界遺産都市であるシェムリアップですが、実は発展しているのは観光のメッカであるパブストリートとその周辺のみ。数キロ先はのどかな田舎景が続く小さな町です。一方、プノンペンは年々都市化が進んでいて、カンボジアの首都であることがよく理解できる町並みです。シェムリアップと比べると、どうしてもその存在は霞んでしまいますが、プノンペンも知る人ぞ知る観光エリアがあるので、滞在に余裕がある方は、シェムリアップとプノンペン両都市を観光してみるのもおすすめできます。

    地域によって異なるカンボジアの気候

    カンボジアはインドシナ半島の南部に位置する国で、気候はプノンペンからシェムリアップまで一貫して熱帯性気候。ベトナムの南部地方と同様で、熱帯サバナ気候(ケッペン気候区分)に属します。

    年間を通して乾季と雨季の2つのシーズンしかなく、乾季は12月頃から5月まで、雨季は6月頃から11月頃までとなります。日本の長雨にような天気ではなく、数十分のスコール(豪雨)が一日数回降るのが熱帯気候の特徴です。世界遺産アンコール遺跡はすべて屋外スポットとなるので、もちろんハイシーズンは乾季。

    ただし、乾季の時期は干上がって水がなくなるトンレサップ湖ですが、雨季には水位が上がり、水上家屋や見渡す限り広がる雄大な湖を一望することができます。

    宗教と民族

    カンボジアは人口の実に9割が仏教徒で、国教も仏教に制定されています。仏教は上座部仏教で、日本やベトナムとは異なり、厳しい戒律を守っています。ただし、仏教は国教ではあるものの、宗教の自由は認められており、少数ではありますが、キリスト教やイスラム教徒もいます。

    カンボジア人の中には自分たちのことを「クメール人(クメールは昔のカンボジアの呼び名)」と呼ぶ人も多く、アンコール遺跡を含むカンボジアは、自分たちの祖先が造り上げたという自負があります。また、少数民族も山岳地帯を中心に点在していて、一部は観光客とも交流をして経済を潤わせています。また、ベトナム人も多く暮らしています。

    公用語はクメール語。英語はまだまだ発展途上

    カンボジアの公用語はクメール語。つまりカンボジア語です。ローマ字ではなく、独特の書体を持つので、クメール語が分からなければ文字を読むことはできません。ただし、観光地では大抵ローマ字も併記されているので、それほど心配する必要はありません。

    近年は若者を中心に英語学習が意欲的です。また、シェムリアップやプノンペンの観光エリアの中心では、観光業やサービス業に携わっている多くの現地人が英語を大なり小なり理解することができます。

    カンボジア(クメール)料理に舌鼓を

    カンボジア人の普段の主食は、日本人と同様に米となります。古くはアンコール王朝時代から、カンボジアは稲作が盛んだったため、現在でも市場へ行けば数十種類の米が並んでいて、値段はどれも破格の安さです。また、観光客にとっては伝統的なクメール料理が名物料理として楽しむことができます。鍋料理のチュナンダイやプラホック、クイティウなどは日本人の舌にも合うでしょう。また、郊外のトンレサップ湖から水揚げされた魚介も食べておきたいところ。

    一方、カンボジア(クメール)料理には、ココナッツミルクを多用します。東南アジア料理が好きという方には合っているでしょうが、そうでない方や食べなれていない方は、短い滞在であっても日本食が恋しくなってしまうかもしれません。ただ、それもカンボジア旅行ならでは。一度や二度食べただけで決めつけないで、いろいろ試食してみて、自分に合った料理を探してみるのも面白い旅になりそうです。

    通貨はカンボジアリエル(KHR)。しかし、普及しているのは米ドル

    カンボジア国内では一般的に自国通貨であるカンボジアリエルが流通していますが、それ以上に普及しているのがアメリカドルとなります。カンボジアはまだ歴史が浅く、政治不安定が続いているので、自国通貨の信頼が低く、現地人旅行者問わず、普段の支払いはドル払いが普通となります。ただし、まったく自国通貨を使わないわけではなく、1ドル以下の端数などはカンボジアリエルで支払ったり、お釣りとして受け取ります。

    旅行者にとっては米ドルが使えるのは大変大きな魅力。カンボジアリエルは日本で両替することはできなく、また現地でもあえて日本円から両替する必要はないといえます。1ドルや5ドルといった細かい米ドル紙幣をたくさん持っていくようにするといいでしょう。

    カンボジア旅行のお土産

    シェムリアップ旅行では、パブストリート沿いの雑貨店やオールドマーケット、ナイトマーケットなどでお土産を選ぶことになります。カンボジアの象徴であるアンコールワット遺跡や、ゾウなどをプリントした洋服は定番ですし、ハンドメイドのアクセサリーは根強い人気があります。

    シェムリアップの観光資源ともなっている影絵は部屋のインテリアとして最適ですし、アリババパンツは部屋着として、クロマー(スカーフ)はワンポイントファッションとしてもおすすめです。昔から絹織物が盛んだったので、シルク製品も多数のお店で見つけることができます。

    カンボジアの交通事情

    シェムリアップの町を歩いても、なかなかタクシーを見かけることはかないません。シェムリアップを含むカンボジアでは、流しのタクシーは一般的に走っていなく、タクシーを利用したいときは電話で呼び出すのが普通です。言葉の壁がある外国人旅行者にとっては現実的ではありませんね。

    そこで、現地で活躍してくれるのがトゥクトゥクです。タイやインドでもお馴染みで、バイクの後ろに座席のついた荷台をくっつけて走るタイプがシェムリアップの定番。乗る前に目的地を告げて、料金交渉しなければなりません。事前にだいたいの相場は把握しておくと、ぼったくられる心配はないでしょう。また、列車はあるにはあるのですが、荒廃が進んでいて、旅慣れたバックパッカーでない限り、列車を使っての移動は避けるのが無難。シェムリアップ⇔プノンペンへ移動する場合は、素直に空路を使うことをおすすめします。

    世界遺産アンコール遺跡を見学する前に、歴史の学習を

    観光のハイライトとなる世界遺産のアンコール遺跡。世界遺産に登録されているのは、象徴であるアンコールワットだけではなく、その周辺にある遺跡群も含めて、“アンコール遺跡”となります。およそ9世紀から12世紀末までに造られた建築物は、どれもクメール建築の集大成であったとされています。

    事前知識のないまま見学すると、どこに注目するべきなのか、レリーフや像の意味などが不明のまま通り過ぎてしまいます。ツアーに参加すればガイドによる説明もありますが、それとは別に、飛行機の機内やホテルの客室でかつてのクメール王朝の“偉業”を少しでも学習していけば、普通とは違った角度からものを見ることができ、世界遺産観光がより充実したものとなるでしょう。

    Writer/この記事を書いた人

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    古川 悠紀
    トラベルライター

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    大学卒業後、日本で販売店営業、外資(米国)メーカー勤務を経て2011年にベトナムのホーチミンに移住。トラベルライターとしてベトナムを中心に東南アジアの旅行・生活・経済の記事を請け負う。実績にAll About、阪急交通社、自著「ベトナムとビジネスをするための鉄則 55」、寄稿「トリコガイドベトナム(アルク出版)」、「複住スタイル(英和出版)」、下川裕治著/編に記事の寄稿等がある。