シェムリアップで仏教徒の生活を覗く。ロリュオス遺跡群の「ロレイ」
シェムリアップには世界遺産に指定されているアンコール遺跡群が市内近郊に多数散らばっています。アンコール遺跡といえば、旅行者にとって真っ先に思いつくのは、言わずと知れたアンコールワット。
しかし、今回紹介する「ロレイ」は、そのアンコールワットよりも古い時代に築かれたロリュオス遺跡の一翼。ロリュオス遺跡には3つの遺跡が残されているのですが、その中のひとつが「ロレイ」です。
ロレイ遺跡は、ロリュオス遺跡群の中ではもっとも新しくできたヒンドゥー教の寺院。また、仏教寺院も隣接していて、彼らの普段の生活の様子も覗くことができます。。ここでは、「ロレイ」の魅力についてお届けします。
シェムリアップ市街地からトゥクトゥクで約30分
ロリュオス遺跡群は、シェムリアップ市街から国道6号線を東に車で30分のところにあります。この遺跡群には、「ロレイ」を含む3つの遺跡がありますが、それらを同時に訪れるのが一般的。
トゥクトゥクなどをチャーターして、3つまとめて足を運んでみることをおすすめします。
アンコール遺跡より古い「ロリュオス遺跡群」
「ロレイ」は、アンコール・ワット遺跡群からちょっと離れたところにある、ロリュオス遺跡群の中ではもっとも新しくできたヒンドゥー教寺院。ロリュオス遺跡群は、アンコール・ワットがあるアンコール遺跡群よりも古い時代の遺跡群です。
8世紀から9世紀にかけて繁栄したとされていて、当時は王都・ハリハラーラヤと呼ばれていました。「ハリハラ」とは、ヒンドゥー教の神であるシヴァとヴィシヌの合体神のこと。
この地域は、アンコール王朝の創始者・ジャヤヴァルマン2世が最後に暮らしていたとされています。そして、その孫であるインドラヴァルマン1世がここを王都とすることを決めたのです。けれどもその後、治水の問題が浮上して、アンコール地方へと遷都しました。
「ロリュオス遺跡群」は、アンコール・ワットなどに比べると規模などは地味目ではありますが、それらの原点ともなった遺跡群。そのため、歴史的にとても重要な意味をもっています。そんな貴重な遺跡のひとつが、ここで「ロレイ」です。
巨大な貯水池にあった寺院「ロレイ」とは
「ロレイ」は、893年にショーヴァルマン1世が、父母とシヴァ神を祀るために建てたといわれているヒンドゥー教寺院。当時は、大きな貯水池の中央の島に建設されていました。現在は貯水池の水はすべてなくなり、祠堂を残すのみの状態になっています。
当時あった貯水池は、東西3.8km、南北800mというかなり巨大なもの。王の名前をとって「インドラタータカ」と呼ばれていました。インドラヴァルマン1世は、灌漑事業に熱心で農業の生産性を向上させたのだとか。それが王朝の基盤を作ったともいわれています。
レンガを漆喰で飾っているのが特徴の建造物で、風化がはげしく破損が目立ちます。
そのため、祠堂の周囲にはロープが張られていて近寄けないように。4つの祠堂の中央部にはリンガが置いてあって、ここには聖なる水を流すための砂岩の樋があります。
寺院内には仏教寺院が隣接していて、修復がおいつかない遺跡とは対照的に、現在の生活がそこに息づいているところもまた見どころのひとつとなっています。
ロリュオス遺跡の「ロレイ」に行こう
アンコール遺跡群よりももっと古い時代のロリュオス遺跡群のひとつ「ロレイ」。今はもうない巨大な貯水池にうかぶ中央島に建っていたこの遺跡。
シェムリアップを訪れたさいには、ここを訪れてみて当時の様子に思いをはせてみてはいかがでしょうか?歴史や建築好きな人には、とくにおすすめしたい観光スポットとなっています。
DATA
ロレイ(Lolei)
住所:Loloi.Siem Reap
営業時間:7:30〜17:30
アクセス:シェムリアップ市街からトゥクトゥクで約30分