シェムリアップ最大の世界遺産「アンコールトム」

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一生に一度は見ておきたい世界遺産として忘れてはならないのが、カンボジア・シェムリアップの「アンコール遺跡群」。日本人旅行者にとっては「アンコール・ワット」が最も有名ですが、アンコール王朝の最盛期の都の遺跡群である「アンコールトム」も、是非とも足を運んでおきたいところです。そこで、ここではアンコール遺跡群最大規模のアンコールトムの魅力をご案内します。

目次

    アンコールワットから1キロ北上

    「アンコールトム」は、シェムリアップで最も有名な遺跡である「アンコールワット」の北部約1キロに位置しています。敷地は広範囲に広がっていて、それぞれの時代に作られた複数の遺跡群が点在しているのが特徴。

    日中はとても暑いので、水分補給はしっかりと。敷地内には要所で売店があるので、そこでアイスやドリンクを買うことができます。

    最大級の世界遺産「アンコールトム」の概要

    「アンコールトム」とは、ひとつの寺院のことではなく、アンコール王朝の最盛期の都の遺跡群のこと。12世紀後半の王であるジャヤヴァルマン7世によって建立された都です。もちろんこの遺跡も、「アンコール遺跡群」として世界遺産に認定されています。

    「アンコールトム」の名前は、クメール語で「大きな街」という意味があるのだとか。

    当時の王は、チェンパ軍(ベトナムの独立海洋国家)の度重なる侵攻で荒れていた国土と人心をまとめなおすため、仏教をシンボルとした城塞を作りました。そして、その王朝文化が爛熟した時代の建築技術の粋をみることができるのが、この「アンコールトム」の遺跡群となります。

    敷地の周りには、石造りの城壁と濠が巡らさせていて、まさに要塞のようの様相。1辺が約3km四方という広大な敷地を、高さ約8mの城壁がぐるりと取り囲んでいます。そして、観世音菩薩の巨大な顔が彫られた5つの城門が外部へ通じている構造になっています。

    敷地の入口のひとつである南大門には、左右それぞれ54体の巨人の石像が並べられています。向かって左側の像は神々、右側の像は阿修羅。そのどちらも7つの頭をもつ蛇(ナーガ)の胴体を抱えています。

    この遺跡群の象徴的存在「バイヨン寺院」

    この都市遺跡「アンコールトム」の中心部に佇んでいるのが、仏教遺跡「バイヨン寺院」です。バイヨンはヒンドゥ教ではなく、仏教の寺院。そのシンボルは、四方にブッダの顔が彫られた仏塔の数々。見上げるほど高い塔が、なんと54もそびえたっているのです。「バイヨン」とは、「美しい塔」という意味があります。

    この仏塔に刻まれているブッダの表情は、そのひとつひとつが微妙に異なっているのが興味深いところ。それらは「バイヨンの微笑/クメールの微笑」と呼ばれていて、とても神秘的な印象を見るものに与えてくれます。

    この寺院の第一回廊の浮き彫りは、神話などを題材にしたアンコール・ワットとは異なっているのが興味深いところ。貴族や庶民の暮らしを題材にしたものが多くみられるのが特徴です。例えば、肉類や野菜が並ぶマーケット、闘鶏に興ずる人びと、仲睦まじい夫婦の情景など。

    これらは、当時のリアルな生活の様子を垣間見ることができるため、歴史的な資料としてもとても貴重なものとなっています。

    その他にも興味深い遺跡がたくさん!

    アンコールトムの象徴は上記で紹介したバイヨンですが、それより先を歩くと、ピラミッドの形をした「パプオン」、天上の寺院と称される「ピミアナカス」、「ライ王のテラス」、「王宮」、「ゾウのテラス」なども見て回ることができます。いずれも当時のアンコール王朝の建築の神髄となります。

    アンコールトムとは日にちを離して行くのがおすすめ

    1日ツアーではアンコールトムとアンコールワットを午前と午後に分けて行くのが普通ですが、両方を同日に行くのは、かなりの体力が必要です。また、遺跡、遺跡と続くので、できれば半日は市街地のパブストリートやオールドマーケット、スパでマッサージなどを楽しんで旅にアクセントをつけるのがいいでしょう。

    遺跡情報

    アンコールトム Angkor Tom 
    住所:Angkor Tom, Siem Reap
    営業時間:5:30~17:30
    アクセス:パブストリートから車で約20分

    Writer/この記事を書いた人

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    古川 悠紀
    トラベルライター

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    大学卒業後、日本で販売店営業、外資(米国)メーカー勤務を経て2011年にベトナムのホーチミンに移住。トラベルライターとしてベトナムを中心に東南アジアの旅行・生活・経済の記事を請け負う。実績にAll About、阪急交通社、自著「ベトナムとビジネスをするための鉄則 55」、寄稿「トリコガイドベトナム(アルク出版)」、「複住スタイル(英和出版)」、下川裕治著/編に記事の寄稿等がある。