無数の頭骨を見学。シェムリアップの寺院「キリングフィールド」

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アンコールワットをはじめとする多くの世界遺産の遺跡を擁しているシェムリアップ。世界中の観光客が訪れる一大観光都市でもありますが、その一方でポルポト政権下に起きた大量殺戮の歴史を今に伝える観光スポットも存在しています。

それが「キリングフィールド」と呼ばれている場所。ここでは、シェムリアップにある数あるキリングフィールドの中でも、観光客が一番行きやすいところをご案内します。

目次

    パブストリートからトゥクトゥクで15分

    キリングフィールドの周辺

    シェムリアップの観光スポット「キリングフィールド」があるのは、中心市街のパブストリートやオールドマーケットから車で15分ほど北上したところ。市街からアンコールワットへと向かう道中に、キリングフィールドがあります。

    街からはちょっと距離があるので、トゥクトゥクなどで向かうのがおすすめ。遺跡をめぐる行き帰りに立ち寄ることもできる場所にあり、見て回るのにもそれほど時間はかからないので、アンコールワットやアンコールトムと一緒にスケジュールを組んでおくと良いでしょう。

    地図で確認

    「キリング・フィールド」とは

    キリングフィールド

    「キリング・フィールド」とは、カンボジアで大量虐殺が行われた処刑場の跡地の俗称です。

    当時のポルポト政権は、知識人や教師、宗教関係者などを危険分子をみなして次々と殺害していきました。カンボジアでは、1975年~1979年の約4年間、大量の人びとが理不尽な理由で殺されていき、それはナチスのホロコーストやルワンダ大虐殺以上とも言われています。

    その理由は、ポルポトが「完全なる共産主義」を目指したこと。人びとを恐怖でコントロールして、すべての財産を剥奪。農民にして強制労働をさせていたのです。そして、少しでも反抗するとすぐに粛清されたとされています。

    キリングフィールド周辺

    当時の政権下、カンボジアの総人口は約800万人。そのうちの300万人という、おびただしい数の人びとが短期間のうちに虐殺されたそう。つまり、その頃に生きていた国民の3分1を粛清した、というわけなのです。ちなみに歴史上に登場する「クメールルージュ」とは、このポルポト政権が率いた武装集団を指します。

    カンボジア国内では、このような「キリング・フィールド」が全国100カ所以上も発見されています。そのひとつが、アンコールワットなどの遺跡があるシェムリアップにもあり、現在は負の歴史をみる観光スポットとなっているのです。

    敷地内には、寺院と慰霊塔が建てられている

    キリングフィールドに納められている頭骨

    この地で亡くなった人たちへの追悼の意味を込めて、1997年、「ワット・トメイ」という寺院が建てられました。そして1998年には慰霊塔が建てられ、掘り起こされた9000もの遺骨がそのなかに積み上げられています。フェンスで覆われた中には無数の頭骨も納められています。

    キリングフィールドの敷地内

    そこには、当時の様子がわかる写真も展示されています。また、敷地のあちらこちらにパネルが設置されており、そこでは英語で歴史背景の説明があります。もし英語が苦手な人なら、日本語のツアーガイドなどをお願いして連れて行ってもらうと、その内容をより詳しく知ることができるでしょう。

    寺院内の様子

    現在、この「キリング・フィールド」は、誰でも見学できるように公開されています。寺院のなかも見学や写真撮影は自由になっていますが、お坊さんの邪魔にはならないように気をつけること。また、この寺院の近くには、いくつかの小さなお店があって、そこではお土産ものを購入することも可能です。

    カンボジアの歴史を知る足掛かりに「キリングフィールド」を見学しよう

    寺院内の様子

    悲しい人類の歴史を今に伝えてくれている、カンボジア・シェムリアップの「キリングフィールド」。決して楽しくなるような場所ではないですが、忘れてはいけない歴史を学ぶ事ができる、人類の負の遺産ともいえる観光スポッットです。

    観光に要する時間はおよそ15分程度。シェムリアップを訪れるさいには、是非ともスケジュールに入れておきたい場所となっています。

    観光情報

    キリングフィールド Killing Fields
    住所:Wat Thmei. Krong Siem Reap
    営業時間:6:00~19:00
    アクセス:パブストリートからトゥクトゥクで15分

    Writer/この記事を書いた人

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    古川 悠紀
    トラベルライター

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    大学卒業後、日本で販売店営業、外資(米国)メーカー勤務を経て2011年にベトナムのホーチミンに移住。トラベルライターとしてベトナムを中心に東南アジアの旅行・生活・経済の記事を請け負う。実績にAll About、阪急交通社、自著「ベトナムとビジネスをするための鉄則 55」、寄稿「トリコガイドベトナム(アルク出版)」、「複住スタイル(英和出版)」、下川裕治著/編に記事の寄稿等がある。